最近、猫を飼い始めた。  これがまた結構かわいくてな。子供のころに読んだ三毛猫ホームズみたいな、ちょうどあんな感じの猫でさ。これが飼ってみると、なかなか良いわけ。もともと俺はあんまり乗り気じゃなかったんだけど、彼女がどうしてもって言うから。ソイツの名前は……。俺はいつもアイツとかコイツって呼ぶけど、彼女はいつも嫌がってるから、いい加減名前で呼んであげないとだなぁ。まあとりあえずいいや。うん、名前なんて個人的にはどうでもいい。結局、大事なのは中身なんだよ。呼び名なんてものはただの付随物だろ?  ま、それはいったん置いといて。アイツは俺が仕事から帰ると、夜遅くても毎回玄関まで迎えに来てくれるんだよ。結構、可愛いよな、ホントに犬っぽくてさ。今日は機嫌よくて、そのまま迎えに来たアイツを撫ででやると、嬉しそうにないてたんだよね。  うん、やっぱり可愛いなぁ。でもちょっとだけ心配になったのは、最近ちょっとずつ瘦せちゃってるところかな。ストレスとかかも。でもちゃんと美味いメシは与えてるし、うーん。  わりと自分のスキンシップが過剰なところ自覚しててさ。そういうところが意外とストレスになっちゃってるのかもな。ごめんよ、ちゃんと反省するからさ。まあでもここに来た時から、元々アイツ感情を表には出さない根暗みたいな感じだったし、実際のところはどうだろうなぁ。  「おーい、メシは?」  そう言うと、慌てながらさっきから盛り付けてた料理を机の上まで運び始めた。今日は……サバの煮つけか。まあ及第点だな。  「おお、ミケ。匂いにつられて早速やってきたなぁ」  ミケの頭を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らして、興味本位に机上の料理を覗こうとしてきた。ごめんなぁ、たぶんミケは食べられないなぁ。  「今日のごはんは……どう……ですか……?」  俺がミケと戯れているとアイツが俺の許までやってきた。怯えるようにこちらを見ているので、俺は笑顔で「悪くないよ」と答えると、彼女は嬉しそうに笑った。どこまでも従順でやっぱりコイツ犬っぽいよなぁ。ああ、そういえば人間だった。